亘理町を発信する、みんなのオンラインショップ。 「生産者と連携し、本物を届ける使命があります」

亘理町を発信する、みんなのオンラインショップ。 「生産者と連携し、本物を届ける使命があります」

地方創生というワードを、意識したことはありますか?東京や都心部に人口が集中していることにより、地方の人口減少・少子高齢化、経済状況の格差が生まれています。そういった問題に各地域の特色をもって取り組み、活気のあふれる地域をつくっていくことが、地方創生なのです

その土地にある文化を伝える、特産品から新たな名物をつくる背景にあるのは、「この地域を知ってほしい」という気持ち。町ぐるみで魅力を発信する場合もありますが、都心部や別の地域に住む人たちがその土地の魅力を知り、「より多くの人に発信したい」と活動をはじめるケースもあります

しかし地域には暮らしがあり、長く守り伝えられてきた文化があります。新しいことをはじめるのに、抵抗がある人もいるでしょう。

宮城県の亘理町という町を発信し、その土地の商品を販売するオンラインショップがあります。「この地域の魅力を伝えたい」と感じたとき、地域に寄り添うため意識することとはなにか、お話を伺いました。

人びとの熱意でまちづくりがされる、亘理町

宮城県亘理郡亘理町は、仙台市から南へ約26Kmの距離に位置する町です。東は太平洋、西は阿武隈高地、北は阿武隈川に囲まれた、美しい自然環境と温暖な気候に恵まれた地域です。

町のホームページによると、人口は33,464人(令和2年10月31日現在)。亘理町まちづくり基本条例によって「町民は、まちづくりの主体である」「町の歴史や自然を大切にしながら、健康で心豊かな住みよいまちづくりの推進に努めるものとする」と目標づけられる、まちづくりに積極的な町でもあります。

また町づくりの大きなテーマとなっていたのが、東日本大震災からの復興です。亘理町は震度6弱を記録し、死者283人(ほとんどが巨大津波によるもの)、住家被害は全壊・半壊・一部破損が計5,587棟、という被害を受けました。
<参考:総務省消防庁/平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(第160報)(令和2年3月10日)>

震災後は原状に戻すという「復旧」だけではなく、震災前以上に元気な町の再建を図る「復興」を目指しています。

亘理町を支えてきたのは、人びとの熱意。そうした熱意や伝統を大切にしているシンボルとして、メディアでも取り上げられている「はらこめし」を中心とした食文化が、町おこしの役割を担っています。また東北1の生産量を誇るいちごの他にも、りんごやアセロラといったくだものが名産です。

そんな亘理町の人たちと協力し、食材や商品を販売している、オンラインショップをご紹介します。

「直売所で充分」からはじまった、生産者との連携

「みんなの亘理オンラインショップ」は、株式会社パワフルジャパン宮城が運営するショップです

  • 株式会社パワフルジャパンの事業内容
    • 地域や事業・商店の活性化に関するコンサルティング
    • 商品・メニュー開発、ネーミング・プロダクトデザイン企画・製作
    • ホームページやCM、WEB広告の企画・製作
    • オンラインショップの企画・運営 など

オンラインショップでは、はらこめしやいちごをはじめとする亘理町の食品やシクラメン、雑貨などが購入できます。ホームページを開くと、魅力の伝わる写真やコピー、バナーデザインに惹かれます。観光ページや動画への誘導、町や郷土料理はらこめしの説明もわかりやすく、あたたさが伝わってきました。
<みんなの亘理オンラインショップ>

このようなページやショップをつくる上で、どのようなことを心がけているのでしょうか。

パワフルジャパン宮城
“ 大切にしているのは、生産者さんとの連携をマメにすること。自治体・運営・委託先と、うまく連携が取れていると思います。もともとサイトは知り合いどうしでつくっているのですが、一緒にサイトをつくる関係者が亘理に直接訪れてくれるなど、関係性があるなかで、愛情をもってつくっていると感じます。”
公式HPより アセロラの生産は本州で亘理町のみ。

オンラインショップを開設するにあたり、最も苦労した点は、参加者のほとんどがITに強くなかったこと。携帯電話に触ることもままならない人、ネットや新しいものに抵抗感がある人も多かったそうです。

“ まずは地元の生産者さんにお願いすることからはじめましたが、最初話を持ち掛けたときは「そんな新しいことはやらなくていいから」というリアクションでした。近くの直売所で売るだけで充分、という方が多かったのです。

一回目は断られたスタッフもいましたが、間に入ってくれる人につないでもらい、1軒ずつお願いに行ったところ「じゃあやってみようか」と進んでいきました。”

インターネットの力により、近所の人だけしか購入されなかったものが、日本中の人が買ってくれるようになります。こうした反応は、亘理町の人びとにとっても嬉しいものではないでしょうか。

売り上げや、購入者からの「おいしかった」という声やカキコミは、とても喜んでもらえました。生産者さんのやる気になっていると、役場の人も言ってくれました。生きがいなど、内面的な活性化につながっていると感じています。”

パワフルジャパン宮城では、あるものを売るだけでなく、商品やパッケージデザインなどの提案も行なっています。「今まで売れなかったいいものを、世に出したい」という気持ちで、生産者と購入者をつないでいるのです。

“ たとえばあるジャム屋さんが裏メニューとして出していた、とてもおいしいイチジクのコンポートを、ラベルデザインをして新たに売り出しました。生産者さんは「もう歳だからやめようと思っていたけれど、もうちょっとがんばるか!」と言ってくれました。”

本物のはらこめしを、自宅でつくる・楽しむための道のり

パワフルジャパン宮城
“私たちは「本物の郷土料理を届ける使命がある」と感じています。はらこめしは全国的に広まってきていて、シーズンになると、たくさんの人が食べに来てくれていました。しかし本来炊き込みでつくるはらこめしが、イクラ丼のように、白いごはんに鮭といくらを乗せている模倣品もあるのです。”

はらこめしとは:亘理町の郷土料理。脂ののった鮭の身と、はらこ(塩づけにしないいくら)を煮た汁で炊き込んだご飯の上に、鮭とはらこを乗せる。最も旬とされるのは、阿武隈川に鮭が出戻りはじめる10月ごろ。

「みんなの亘理オンラインショップ」では、はらこめしを自宅でつくるためのセットや、つくりたてのお弁当を販売しています。その中で購入者の声を積極的に聞き、生産者へ届けたり、商品の参考にしたりしています

“ もともと「おうちでもつくってもらいたい」という気持ちから、冷凍で販売している生産者さんがいました。しかし町の人から「冷凍と生では全然違う、生で出してほしい」と言われ、頼みに行きました。商品化するまでには、レシピを入れたり写真を撮ったりと、細かい作業があります。

そうした作業をサポートしていくことで、売れる商品になっていくのです。今年はたくさん売れて、4年目にしてやっと日の目を見てきたという感じですね。

また地元では、一升炊きで大量につくるのが定番。しかし必要な材料も多く、都心で材料をひとつひとつ揃えようと思ったらかなり大変です。「一般家庭用に、2〜3人分のキットになっていると助かる」という声があります。”

さらに、ネットショッピングに注目が集まったコロナ禍では、新たな楽しみ方が見つかりました。

“ つくりたてのお弁当は、翌日の午前中に届けられる地域限定で届けています。先日、「家でオンラインライブを観ながら食べました」と、写真をあげてくれた方がいました。少し特別な料理を届けることは、おうち時間を豊かにする役割も担っているのかもしれませんね。”

運営側自身も魅力を再確認し、愛情もって発信する

亘理町の人びととショップを運営していくなかで、パワフルジャパン宮城がモノを売るのと同じくらい大切にしているのが、町の魅力発信です

パワフルジャパン宮城
“ 「みんなの亘理オンラインショップ」は広告費がゼロのため、自分たちでもインスタグラムなどで、コツコツ発信しています。亘理町を知ってもらうため、住む人やはらこめし、荒浜弁(方言)の動画を載せています。一方で外部の方がもつ、影響力の恩恵も感じました。

亘理町では、国内唯一のアセロラ栽培、生のアセロラ販売を行なっています。震災で全壊したアセロラのハウスから蘇った、「奇跡のアセロラ」です。テレビの健康番組でアセロラのビタミンCの豊富さが取り上げられ、その日にかなりの注文が入りました。

有名なブロガーの方が、商品(かにみそ)を紹介してくれたのがきっかけで、売り上げが大きく伸びたこともありました。”

インスタグラムやフェイスブックには、購入者から届いた写真や声も投稿されています。ホームページ同様、亘理町に関わる人のあたたかさが伝わるものでした。

「亘理という町を、もっと知ってもらいたい」その思いは、オンラインショップのコンセプトにもなっています。亘理町を知ってもらうために、運営側自身も魅力を感じ、生産者や購入者とのつながりをつくっていく。町や人、食文化に向けられた愛情が感じられます。

“ オンラインショップをやるようになって、運営する私たちも、たくさんの魅力ある商品を知りました。とても人気があるりんごなども、もともと軒下販売のような形だったのです。

はらこめしも、これほど関わることになると思っていませんでしたが、レシピ制作のために何度もつくるなかで、あらためてとてもおいしい料理なんだと気づけました。

亘理町は、宮城県のいち小さな町。結果的に商品を買っていただくだけでなく、亘理に来ていただきたいですね。
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