ウェルカムで国際的な松山の子ども食堂 親子・ボランティア・留学生で楽しんでます

ウェルカムで国際的な松山の子ども食堂 親子・ボランティア・留学生で楽しんでます

「子ども食堂って、私が行ってもいいの?」ニュースで名前は聞くけれど、現状がイメージがしにくい場所でもある。愛媛県松山市には、多国籍な料理が楽しめて、留学生と交流できる「国際子ども食堂」があります。参加しやすい場所になるための工夫を、松山さかのうえ日本語学校代表の山瀬さんにお聞きしました。

  • この記事のまとめ
    • 「子ども食堂を、誰もが参加しやすい場所にしたい」という思いから、国際子ども食堂ができた。
    • 親子ともにうちとけやすい環境は、ボランティア・留学生がオープンに接することでできている。
    • 「イメージと違った」と感じることは、子ども食堂に参加しやすい雰囲気をつくる第一歩。

子ども食堂、気軽に行っても大丈夫ですか?

「子ども食堂を利用してみよう」と思ったことはありますか? 「コロナ禍で需要が増えている」「感染予防や、資金難で運営が難しい」と、ニュースで耳にすることがあります。

「子ども食堂」とは、無料または安価で栄養のある食事を提供し、共食の機会をつくる場所です。誰かと食事をとる機会があることで、地域コミュニティとしても子どもの居場所をつくれます。
<参考:農林水産省/子ども食堂と連携した地域における食育の推進>

「子ども食堂って、ごはんが食べられない子どもが行くところなの?」「みんな静かに食事をしてそう」漠然とそんなイメージを抱いている人も多いかもしれません。

愛媛県松山市には、多国籍な食事が楽しめて、留学生と交流できる子ども食堂があるそうです。その名も「国際子ども食堂」。子ども食堂って、どんな人たちが集まっているの? 気軽に行っても大丈夫? 国際子ども食堂を運営している、松山さかのうえ日本語学校代表の山瀬麻里絵さんに、リアルなお話を伺いました。

オープンでウェルカムな子ども食堂にしたい!

山瀬さんは日本語教師の仕事を通じて、たくさんの人と会う中で、生活で困っている子どもたちにも目を向けるようになりました。そんな子どもたちに会いたいけれど、今どんな状況なのかも、訴求方法もわからない。そこではじめたのが、子ども食堂でした。

山瀬:東京と違って、松山では「子どもが運営する食堂なの?」と思っている人もいて、そもそも子ども食堂の認知度が低いのかもしれないと感じました。最初は「子ども食堂とは?」と一般的な定義を記載したチラシも配ってみたんですが、なかなか人が来なくて。

子ども食堂っていうと「公民館に子どもが集まって、正座して静かにごはんを食べている」っていうイメージが強いのかもしれない、と思ったんです。

もっと多くの人が参加できるオープンな雰囲気で、ウェルカムな感じの子ども食堂をつくりたい。そんな山瀬さんの思いからできたのが、留学生や外国人のシェフに自国の料理をふるまってもらう、国際子ども食堂でした
<国際子ども食堂>

外国人シェフが料理に腕を振るう
山瀬:「国際こども食堂」と言えば海外にルーツがある人や、子どもと留学生が話せることに関心を持った親御さんが来てくれて、にぎやかさが出るんじゃないかと考えたんです。

現在3〜4割は、海外にルーツのある子どもが来てくれるようになりました。そうしたにぎわいを見せつつ、本来のターゲットである、家でごはんが食べられない子も少しずつ来てくれればいいかなと思っています。

「国際」というワードをきっかけに、多様な子どもたちが集まる場所になってほしい。多くの人に知ってもらいたい、来てもらいたいという、山瀬さんの思いを感じました。

「豚肉が食べられない」という留学生

山瀬:「気軽に来てね」とオープンにしていった結果、子ども食堂を「子どもパーティー」と言い出す子もいて。パーティー感を強めすぎたかもしれませんね。

笑いながら話す山瀬さんからは、元気に楽しんでいる子どもたちの様子が伺えました。「知らない大人に緊張してしまうのでは」と想像していたのですが、実際は「パーティー」と呼ばれるほど、楽しい場所になっているんですね。

山瀬:最初の30分くらいは、緊張というか、人の多さにびっくりしてしまう子はいます。初回の子は、ボランティアに1対1で対応してもらって、うちとけてもらいます。

ボランティアは高校生・大学生が活躍していて、「接しやすいお姉さん・お兄さん」という印象なのだそうです。

山瀬:周りには身体を動かして遊んでいるコーナーもあれば、宿題やぬり絵をしている机もあって、自然と場所はできています。だから興味のあるところに、するするっと入っていける環境です。

遊び以外でも、ボランティアの学生がわからないところを教えてくれるので、最近は宿題を持参する子が増えました。親御さんも「ここにきたら勉強するから助かる」と言ってくれています。
松山さかのうえ国際子ども食堂 2
黙々と宿題に取り組む様子

国際子ども食堂は、留学生との交流も特色のひとつ。留学生は、子どもたちどう接していますか?

山瀬:留学生もごはんを食べたり、遊んでいる輪の中にいます。あとは、英語の絵本を読んでくれることもありますね。

言語だけでなく、一緒に食事をすることで学べる文化もあるといいます。

山瀬:留学生は、宗教的な事情がある場合でも、包み隠さず話してくれるんです。「豚肉は食べられないんだ」「あと30分したら日の入りで断食が終わるから、一緒に食べようね」という感じで。あわせられることは対応しつつ、一緒に食事をしています。そういった事情を見て、子どもたちが自然に学んでいるのも、いい傾向だと思っています。

国によって異なる食文化に、自然と触れられる環境。子どもが当たり前として接し、どうしたらあわせられるかを考えられるのは、多様な人が集まる国際子ども食堂ならではの学びですね。

ボランティアの学生とお母さんが、意外な話で楽しんでいた。

子ども食堂を楽しんでいるのは、子どもたちだけではないようです。

山瀬:はじめてだと、親御さんがひとりで座っていることもあって、見つけたらボランティアの学生が声をかけていくんです。そこから話が盛り上がることもあるみたいで。この前は「お母さんたちから、育児の大変さを聞いてきなよ」と送り出したら、恋愛相談が繰り広げられていました。私の知らないような話まで、お母さんたちが引き出しているんですよね。

恋愛相談は意外でしたが、「お母さんたちも普段聞かない話だから、楽しいみたいです」と聞いて納得しました。親子ともに、うちとけやすい環境ができているんですね。

山瀬:高校生・大学生のボランティアって、親子どちらにとっても、ちょうどよい年齢なのかもしれないです。同じ環境にいながら、ほどよい距離感で話ができる関係になっています。高校生や大学生たちは、子どもの面倒をみるのがとても上手なので、その間に親御さんはゆっくりできるんです。「たまには子どもを預けて、人のつくってくれたごはんをゆっくり食べたい」っていう気持ちもあるんだと思います。

国際子ども食堂の平均滞在時間は、二時間ほどだそうです。食事の後で、親子がそれぞれの場所で楽しみ、人と関わっていける場所になっているんですね。足を運んだ親子がうちとけやすいよう、ボランティアや留学生、スタッフの方々からオープンに接する。その優しさは、子どもたちにも伝わっているようです。

松山さかのうえ国際子ども食堂
スタッフと子ども達の食事の様子
山瀬:ボランティアのお姉さん・お兄さんたちをよく見ているみたいで、小学生たちが「私も配膳やりたい」「あとかたづけがしたい」って言ってくれるようになりました。私は見守っているだけでも、自分からやってくれる環境になっています。

学生ボランティアの業務は、留学生や社会人ボランティアとの共同作業、子どもとの交流など、多岐にわたります。子ども食堂やフードバンクに関心をもち、就職や卒論を見据えて、自分を成長させようと参加してしてくれる学生が多いです。うちのような、活動がはじまって間もない団体に応募してくださって、感謝しかありません。

「イメージと違った」は、参加しやすい雰囲気への第一歩。

子ども食堂で大変なのは、資金面。現在は食料を持ち寄るなどして、継続している面もあるといいます。現在考えているのは、地域の中で、お金以外で継続的に助け合える関係をつくること。

山瀬:たとえば近所の農産組合さんが「伊予柑ジュースを全国に売りたくて、発信したいけどやり方がわからない」と言っていて。野菜をいただく代わりに、私がホームページをつくったり、インスタをボランティアの高校生に更新してもらったりしています。

コロナ禍で需要が伸びている一方で、感染対策のためにできることが限られる子ども食堂は、継続のための支援が欠かせません。国際子ども食堂では、資金や備品の寄付、ボランティアの募集を行っています。
<松山さかのうえ日本語学校 ホームページより>

また継続的な運営のために、賛助会員制度があります。一口2,000円から支援が可能です。

松山さかのうえ日本語学校 賛助会員さま募集のご案内

お話を聞く中で、子ども食堂について知らない、イメージだけで判断したことが多かったと改めて気づきました。国際子ども食堂の活動から「イメージと違った」と感じることも第一歩。現状を知って一人ひとりが思い込みをなくすことから、参加しやすい雰囲気をつくっていきませんか?

子ども達の食事の様子

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