「1日1食でエネルギー切れ」コロナ禍の困窮学生。私たちができる支援って?

「1日1食でエネルギー切れ」コロナ禍の困窮学生。私たちができる支援って?

「オンライン授業が受けられない」コロナ禍で困窮する学生が立ち向かうのは、学びの継続だけではない場合も。バイト激減などから、生活の安定も危うく、食事も1日1食。そんな若者が近くにいたとき、私たちにできることは? 進路相談やパソコンの寄贈、現金給付による支援を行う、認定NPO法人D×P(ディーピー)の代表にお話を伺いました。

  • この記事のまとめ
    • コロナ禍でオンライン環境は必須とも言えるが、公立高校でパソコン1台を4.1人で利用している状況など、環境を整えられない学生もいる。
    • コロナ禍では学びの継続以前に、バイト激減で1日1食にして食費を削るなど、生活の安定が危うい若者も多い。
    • 認定NPO法人D×Pが行なっているのは、まずは現金や食料の支給。それからパソコンや学ぶ機会無料提供で、スキル面を支援。
    • D×Pが大切にしているのが、否定せず関わるマインド。長期的に関わっていくための、信頼関係をつくっていく。
    • 私たちにできることは、コロナ禍での支援や、使える国の制度に関する情報の拡散。

パソコンがあることで、コロナ禍でも若者の進路が広がる。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、授業がオンライン化する中、「ネット環境やパソコンがなくて勉強が進められない」という声があります。

令和元年度の調査によると、公立高校は現在、パソコン1台を4.1人で利用している状況。パソコンを持っていない10代に、すぐにネット環境を与えられない現状があるのです
<参考:文部科学省/令和元年度学校における教育の情報化の 実態等に関する調査結果(概要) (令和2年3月現在)>

認定NPO法人D×Pの代表、今井紀明さんは「『使いたいときに、自由に使えるパソコンがほしい』っていう子は多い。パソコンがあることで、進路の選択肢は広がると思います。」と話しています。

コロナ禍で若者が困っていることとは? 私たちにできることはなんでしょうか? 活動を通じて、たくさんの若者と接している今井さんに、お話を伺いました。

D×P今井さん
認定NPO法人D×P 代表 今井紀明さん

エネルギー切れで「やりたい」って気力がない。

D×Pは現在パソコンの寄贈や、プログラミングなどを学ぶ機会の無料提供を行い、若者の可能性を広げています。2020年は95人(台)にパソコンが寄贈され、今年も同じペースで寄贈がされる予定だそうです。

コロナ禍の学びや活動において、オンラインに対応できる環境は必須とも言えます。「インターネット関連で困っている」という相談は、どのようなものがあるのでしょうか。

今井:D×PではLINEを使ったオンライン相談事業(名称:ユキサキチャット )を行っています。もともとは進学・就職相談の窓口でした。そのため進路に関する情報を発信したり、相談にのっていく中で「実はプログラミングをやってみたい」「動画制作に興味がある」という話が出てくる感じです。
ユキサキチャット HP

ちなみにパソコン給付希望の相談者に聞いた「やってみたいこと」には、動画制作・アート・漫画制作、プログラミングなどがあるそうです。授業が完全にオンライン化する現在、「なんのために入学したのだろう」と学生のモチベーションが低下する、金銭的な問題も重なって休学・退学を検討する、というニュースも耳にします。若者のモチベーションは、コロナ禍で低下していませんか?

今井:もちろんもっている子もいますけど、全体的にモチベーションは低下していますね。そもそも食事も1日1食に削っていて動けない、という状態の子が多くて。エネルギー切れで、「なにか他にやりたい」って意欲、気力がない人もいます。

ひとり暮らしで親に頼れない。「お金のなさ」が孤立に

今井:キーワードは、「ひとり暮らしで親に頼れない子」ですね。三度目の緊急事態宣言で、孤立化がより顕著になっていると感じます。

2020年、15から24歳の雇用者で、非正規雇用の割合は48.7%。現在働いている雇用に不安がある人、アルバイトで生計を立てているのに、コロナ禍でシフトが削られる学生も増えています。
<参考:総務省統計局/労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)平均結果の概要>

今井:そういった「お金のなさ」は、孤立に直結するんですね。「生活の実情を友だちに相談できない」ということをよく言われるんですけど、そうするとさらに、孤立していって。

そこでユキサキチャットが行なっているのは、まず現金や食料の給付で、生活の安定をつくっていくこと。元々は13から19歳の相談を受けていましたが、コロナ禍の現在、25歳までを対象に支援しています。

今井:2020年度は300万円以上の現金給付、約5000食の食糧支援を行ない、今年はそれ以上のペースで現金給付、食糧支援をしています。

お金や食料などの支援は、直接若者に届けています。国の支援は世帯支援になるので、とくに困窮家庭は若者に直接お金が入らないんです。国ができないことを、「国に代わってやっている」という意識があります。

「周囲に頼れない若者が、自立するために必要なもの」を、D×Pは提供しているんですね。

今井:そのあとで、学習や就職に必要なスキル面を支援しています。D×Pやほかの団体が無償で行うプログラミングスクールの情報提供もしています。

紹介したサービスを使い、自分で勉強をはじめたという声もありました。パソコンの寄贈をきっかけに、在宅での仕事が得られるスキルを身につけて、働きはじめた若者もいます。

困窮状態になっても、それぞれにあった進路をサポートしていきます。そしてD×Pが若者と接する上で大切にしているのが、信頼関係です。
パソコン寄贈の様子

長期的な信頼を「否定せず関わる」マインドで築く

授業はオンラインになったし、やりたいことがあるのに、パソコンがない。そもそも今日食べるものもなくて、生活が心配。知らない大人に進路や、金銭面での不安を相談するのは、ハードルが高そう。D×Pのみなさんは、どんな心がまえで相談に応じているのでしょうか?

今井:創業時から変わらずもっているD×Pのマインドは、「否定せず関わる」。D×Pの相談員は、担当制なんですよ。1回きりで相談が完結する子は本当に少なくて、半年とか1年、長い場合だと3年近く。LINE相談事業設立当初から関わっている子もいますね。だから、長期的な関係を築くことが大切

「とくに上手なスタッフさんの対応ってありますか?」と聞いてみたところ、「全員うまいと思います」とすぐにお答えいただいたのが、印象的でした。否定せず関わるマインドは、ボランティア・経営・広報なども含め、全員に共通している姿勢だそうです。

今井:またLINE上のやりとりで必要なのは、主だった相談に対してきちんと情報を伝えて、一緒に答えを出していくこと。その上で、個人的な事情や周囲の人との関係性を聞いていくことで、信頼関係を築いています。

否定せず関わるマインドで、若者に寄り添う。支援したいと考える私たちも、まず意識したい姿勢です。次は具体的な支援についてお聞きしました。

私たちにできるのは、情報を届けること。

身近に10代の若者がいる人は、「授業が完全オンライン化した」「バイトのシフトが減った」という声を聞いているかもしれません。「もしかしてあの子、困ってるんじゃないかな」と感じたとき、私たちができることはあるのでしょうか?

今井:やっぱり、情報を届けることですかね。食料の支給など、ユキサキチャットの緊急事態宣言下の支援などは、広げていただければと思います。

あと発信が必要なのは、社会福祉制度について。基本的にあまり知られていないので「制度は誰でも使えるもの、困ったときはちゃんと使った方がいい」と伝えたいです。「頼れるところをいっぱいつくっていく」っていうのは、自立にもつながるので

「情報拡散やサポーターなど、個人の力が結集して、若者への支援ができている」と今井さんは言います。月額寄付のサポーターは、1000円から可能です。
<月額サポーターになる 認定NPO法人D×Pより>

さまざまなことを学び、進路を決定していく若者。コロナ禍での孤立や、進路選択に対する不安解決の第一歩は、私たち一人ひとりが寄り添うこと。自分にできる方法で、情報を拡散することからはじめてみませんか?

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