ペットと同行避難、日頃からの準備を災害ガイドラインと東日本大震災に学ぶ

ペットと同行避難、日頃からの準備を災害ガイドラインと東日本大震災に学ぶ

災害はいつ起こるかわかりません。

いざ災害が発生したとき、ペットを飼っている方はどのように避難し、避難所ではどうすべきか?また、ペットと同行避難するための準備をされているでしょうか?

ペットと防災の問題が浮き彫りになったのは、東日本大震災とされています。青森・岩手・福島の3県で約3,100頭の犬が死亡するなどの被害や飼い主とはぐれるケース、避難時・避難所でのトラブルがありました。
〈参考:環境省/東日本大震災における被災動物対応記録集〉

東日本大震災をきっかけに、同行避難を想定して準備を進める自治体は増えています。

2021年7月1日からの大雨では、環境省がペットの同行避難の徹底、同行避難者への適切な対応を依頼しています。
〈参考:内閣府 防災のページ/令和3年7月1日からの大雨による被害状況等について(7月20日8時30分現在)〉

しかし住んでいる地域のルールや準備するものなどは、まだ一般的に浸透しておらず、自分で調べる必要があります。

事前に知りたい自治体のルール・生活の不安軽減・トラブル防止のための準備を、環境省のガイドラインから確認しました。

  • この記事のまとめ
    • 同行避難は、ペットと一緒に過ごすことではない。ルールや避難経路を、自治体のホームページやハザードマップで確認しよう。
    • 食料や日用品は、5~7日分用意。落ち着いて過ごすため、使い慣れたおもちゃや毛布なども、非常持ち出し袋に入れておこう。
    • さまざまな人やペットがいる避難所。トラブル対策に、ケージに慣れるしつけ、迷子札・マイクロチップ・写真の用意、ワクチン接種や避妊治療などの健康管理を。

ポイント1:自治体の避難所受け入れルールを知り、避難訓練をする

動物愛護法により、2012年から各都道府県ごとの『動物愛護管理推進計画』に、災害時の対応についての記載・災害時の協力が追加されました。

そのため避難時のルールは、各都道府県や自治体によって異なります。避難をしてから戸惑わないよう、確認したいポイントを見ていきます。

同行避難は一緒にいられる訳ではない

2016年の熊本地震では、同行避難と同伴避難を誤解している人が多く、室内同居ができないことから「ペットを連れて避難はできない」とSNSで拡散されたケースも見られたそうです。
〈参考:環境省/熊本地震における被災動物対応記録集〉

同行避難とは、ペットと避難所まで避難することを指します。同じスペースでペットと過ごせる訳ではないと、知っておいてください。

避難所・受け入れ条件の確認

ペットの受け入れ条件は、「ケージに入れたペットと同じスペースで過ごす」「ペットは別のスペースに集められ、飼い主と離れて暮らす」など、同行避難を促す自治体でも異なります。

ワクチン接種や避妊手術が、条件となる場合もあります。

近隣の避難所や受け入れ条件などは、自治体のホームページで確認しましょう。

ペット同行の避難訓練

避難所に足を運んでみると、スムーズな避難につながります。ペット同行での避難訓練を実施する自治体もありますが、散歩ついでのルート確認も、ひとつの方法です。

避難時に備えて「どのくらい時間がかかりそうか」「ケージや荷物を持って避難できるか」「ひとつの道が冠水していた場合、別のルートは使えるか」なども想定します。

こうした被害状況の想定には、ハザードマップも有効です。手元にない場合は、市役所や自治体のホームページなどで入手できます。

ポイント2:避難生活の不安を軽減するペット用の持ち出し袋を備える

救援や避難所の備蓄は、人間の物資が優先されるため、ペット用の備蓄準備が必要です。

東日本大震災では、ペット用の救援物資を運ぶ車両が緊急車両として認められず、ガソリン不足も加わりすぐに届かなかったケースもあったそうです。

また環境の変化に敏感な動物は「慣れないエサを食べない」「慣れない環境で落ち着かず、吠えてしまう」といったことも想定されるため、使い慣れたものを準備しましょう。

食料・日用品の備蓄

食料や日用品などは、人間同様に備蓄が必要です。支援物資が届くまで時間がかかると想定し、多めに用意します。

  • 最優先で用意したいもの
    • 5〜7日分のフード・水
    • (持病などがある場合)療法食・薬
    • 予備の首輪・リード(伸びないもの)
    • 食器
    • ガムテープ(ケージの補修など多用途に使用可能)
    • ペットシーツやトイレ用品
    • タオルやブラシ など

使い慣れている毛布・おもちゃも用意

普段と環境が異なる避難所でも、お気に入りのおもちゃや毛布など、使い慣れたものがあるとリラックスしやすくなります。

またおもちゃは、狭い場所でも遊べる大きな音が出ないものなど、周囲に配慮したものもあると安心です。

日用品は人間同様、持ち出し袋をつくって準備していきましょう。

ポイント3:避難所で起こり得る周囲とのトラブル対策は?

避難所には、さまざまな人がいます。ほかのペットとの接触や、動物が苦手な人からの苦情などが、トラブルにつながることも想定されます。

ペットを守るためのトラブル対策も、飼い主の責任。落ち着いて過ごすための工夫、迷子対策・健康管理といった準備が必要です

ケージに慣れるためのしつけ

ペットがケージやキャリーバッグで過ごせると、脱走によるトラブルの回避、避難所生活によるストレスの軽減もできます。

しつけは時間がかかって根気のいるもの。普段からケージの中でおやつを食べさせるなど、ケージで過ごす時間をつくることからはじめてみましょう。

ケージがペットにとって落ち着く場所になるよう、自分から入れたら褒めるのもポイントです。

迷子札・写真の用意で迷子対策

災害時は、ペットとはぐれてしまう場合も考えられます。しかしマイクロチップや迷子札があれば、飼い主の元に帰ってくる可能性が高まるため、事前の準備は必須です。

また飼い主の連絡先、ペットの写真といった情報を印刷しておくと、捜索時に役立ちます。写真は、スマートフォンなどにデータを保存するのも有効です。アナログとデジタルを両方準備しておくと、状況に合わせて使いわけられます。

ワクチン接種・避妊治療の健康管理

慣れない避難生活では、ストレスによる免疫力の低下など考えられるため、各種ワクチンを接種していると安心です。とくに年1回の狂犬病予防接種は義務付けられています。

被災時は具合が悪くなってもすぐに獣医に診てもらえません。感染系の病気は、ほかの人や動物への影響を与えるため、避難所に入れない可能性もあります。

また避妊治療は想定外の繁殖だけでなく、ストレスやむだ吠えの抑制、病気の予防にもなります。

接種状況・既往症・健康状態・かかりつけの動物病院などの情報もまとめて、持ち出し袋に入れておきましょう。

ペットを守るためには、飼い主の安全も大切

日頃からペットのために準備をするのは大事ですが、災害時にペットが頼れるのは飼い主だけ。あなた自身が、落ち着いて安全に行動するための準備も大切です。

ペットの食料や日用品を用意する、避難ルートの確認と合わせて、自分たちの災害準備も怠らないようにしましょう。

また家庭の状況によっては、同行避難せずに預け先を検討する方法もあります。調べた上で、ペットのためにどうするか決めるのが、飼い主の責任です。

この記事が、防災を考えるきっかけになれば幸いです。

こちらの記事は、以下のガイドラインを参考に作成しています。準備の前に、ぜひご確認ください。
〈参考:環境省/災害時におけるペットの救護対策ガイドライン〉
〈参考:環境省/人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>〉

Share

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です