ストレスフリーに過ごせるリビングみたいな盲導犬の育成環境に驚きを隠せない

ストレスフリーに過ごせるリビングみたいな盲導犬の育成環境に驚きを隠せない

視覚障がい者のサポートをする盲導犬。街で見かけたことはありますか?

盲導犬は「身体障害者補助犬法」に基づき訓練されています。ユーザーさんと歩く姿を見かけると「賢いな」と関心します。

一方で訓練中や、訓練施設での普段生活している様子はなかなか見られないものですよね。

「公益財団法人 関西盲導犬協会」の「木香(もっか)テラス」では、盲導犬になるための訓練をうけている犬(「以下、訓練犬」)が外で遊び、お昼寝をする様子がSNSで発信されています。

オンライン取材ではありますが、その木香テラスを、実際に見学させていただきました。

人と暮らせるリビングを意識した空間で、犬たちはリラックスしています。

盲導犬の育成には、安心して過ごせる環境が大切なんだ、と考えるきっかけになりました。

  • この記事のまとめ
    • 常に人と接していく盲導犬のため、一般家庭と同じ環境「木香テラス」がつくられた。
    • 犬と人がお互いを思い合うことができるため、信頼関係が築かれる。
    • 盲導犬を身近な存在にするため、SNSで施設での普段の様子を発信したり、木香テラスでイベントを行なっている。
木香テラスにて ぐっすり眠る様子

関西盲導犬協会の木香テラスってどんなところ?

今回お話を伺ったのは、「公益財団法人 関西盲導犬協会」常務理事の古橋さんと、広報担当の浅野さん。

関西盲導犬協会は、年間20〜30頭の犬を訓練し、そのうち約10頭を盲導犬として目のご不自由な方に無償貸与しています。活動40周年を迎えた2020年までの間、約430頭を貸与してきました。
〈関西盲導犬協会 ホームページ〉

協会の特色は、2016年に新設された「木香テラス」。木のあたたかみがある広いスペースで、常に犬たちと職員さんが近くにいられる環境です。

常に人と接する一般家庭と同じ環境

木香テラスのコンセプトは、一般的な日本家屋のリビング。訓練犬のそばに人がいる環境は、どのような背景から構想されたのでしょう?

古橋:木香テラスができる前は、一頭一頭犬たちを固定した柵に囲って飼育する、コンクリートの建物。いわゆる一般的な「犬舎」と呼ばれる環境でした。

犬たちは1歳になるまでは、パピーウォーカーさんのお宅で育てられ、盲導犬になってからは目のご不自由なユーザーさんの家族になります。

盲導犬は、社会の中で常に人と接していく存在。人のいる環境で育成しなければいけないと考えたんです。

盲導犬は、人のそばにいることを喜ぶ犬種。以前の犬舎では人がいないと不安になる、たまに人が来ると興奮しすぎて吠えることもあったそう。

木香テラスで過ごしている犬たちは、静かに自分の場所で寝転んでいました。

浅野:一般家庭と同じ環境で暮らすのも、ひとつの訓練。ボランティアさんも立ちかわりで行き来するので、お客さんが来られても安心できるようになります。
日々の訓練の様子

犬と人、お互いに思いあって信頼関係を築く

訓練犬のそばにいることで、職員さんは犬たちが感じている小さな不安も解決できます。その積み重ねが、犬からの信頼関係を築いています。

浅野:以前は職員のいる部屋が別にあって用事があるときしか犬舎に行かなかったため、犬の様子を把握しにくいこともありました。

今は隣の子にちょっかいを出している様子から、アレルギーのごく初期の症状まで、すぐ対応できます。

古橋:実は犬も人の動きを観察していて、学習能力が高い。ペットでも「お世話してくれるお母さんの言うことしか聞かない」なんてことがありますよね。

お互いの細かい変化を察知するのが、盲導犬と人のコミュニケーション。信頼しあって生活する「盲導犬の基礎」ができていきます。

犬舎が開放的なテラスに変わったことで、ボランティアさんやユーザーさんからの見られかたも変わったといいます。

古橋:以前の犬舎では「犬たちがかわいそう」と言われることもありましたが、木香テラスになってからは「私が住みたいくらい素敵な環境。安心して任せられる」と言っていただけました。

ユーザーさんからも「こんな環境で育った犬だったら、ぜひ迎えたい」と言っていただいています。

革新的な飼育環境は、海外の団体からも視察が来るほど。訓練犬にとってストレスフリーな環境が、増えることを願います。

関西盲導犬協会
いつも近くにはスタッフがいる

盲導犬を身近な存在にするテラスの工夫とは?

活動を広めるため、月一回の見学会など、関西盲導犬協会ではさまざまなイベントを開催しています。

コロナ禍ではSNSで、訓練犬の様子を発信しています。発信にある思いは「協会での普段の姿を知ってもらい、イメージを変えたい」

コンサートや婚活イベントの開催

以前の見学会は、犬たちが喜んで興奮しすぎないよう、犬舎の外にあるのぞき窓から様子を見てもらっていたそう。一方開放的な木香テラスでは、普段の様子を間近で見られます。

さらに、開催されたイベントも個性的でした。

浅野:テラスでクラシックコンサートをやりました。犬たちもリラックスして聴いていて、お客さんやユーザーさんと一緒に楽しめました。

亀岡市が開催する婚活イベントも好評でしたね。男女ペアになり、犬のブラッシングや、アイマスクをして手引き体験をしていただきました。

婚活イベントでは、市のイベント初となる結婚されたカップルが誕生。木香テラスと、犬を介したコミュニケーションの力ですね!

盲導犬のイメージを変える、SNSのかわいい姿

古橋:SNSに力を入れるきっかけは、昨年行ったクラウドファンディング。インターネットの力で、全国規模で関心を持ってもらえるとわかりました。

 また以前は盲導犬より、視覚障がい者の啓発を第一にしていました。「盲導犬は仕事をする犬で、ペットとは違う」と一線を引いていたんです。

 けれど活動をサポートしてくれるのは、犬が好きな人たちが多く「普段は何をしているの?」と気になっている。そんな人たちにも盲導犬のことを正しく理解してもらえるよう、普段の様子を発信するのも大切だと気づいたんです。

投稿される動画や写真は、カメラ好きの職員さんが撮影されたもの。開放的な木香テラスと、信頼関係のある職員さんの力で、リラックスした表情が見られます。

盲導犬=訓練だけではない、のびのび暮らす日常があった

「盲導犬って厳しい訓練をしているの?」と思い込んでいた私自身も、「職員さんを信頼して、楽しく生活している姿がかわいいな」とイメージが変わりました。

この記事を読んで、犬たちがのびのび暮らす環境を知っていただくことでも、「イメージと違うんだ」と気づきが生まれれば幸いです。

日当たりの良い窓辺でひなたぼっこ

関西盲導犬協会の活動費は、9割が寄付・募金によって支えられています。コロナ禍でイベントや街頭募金の実施が難しい現在、継続のため応援が必要です。
〈公式HP ご支援のお願いへ〉

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