自分の意見が「言えない」から「ない」になる前に。 ジョハリの窓で自己開示・他己分析をしてみよう

自分の意見が「言えない」から「ない」になる前に。 ジョハリの窓で自己開示・他己分析をしてみよう

人の目が気になって意見を言えないことは、意思と反対に物事が進むなど、ストレスの原因にもなる。意見を言わないクセがつくと、ほかの人との認識がズレが生じるかもしれない。自分やほかの人からの自己認識を確認する「ジョハリの窓」で、自己開示や他己分析をしてみよう。

  • この記事のまとめ
    • 自信がない、周囲と対立したくないことで、意見を出せない人が多い。
    • 意見を出さないことは、意思と反対に物事が進む、ほかの人との認識にズレが生じるなど、ストレスの原因になる。
    • 人から言われて、自分の新たな面に気づくこともある。
    • ジョハリの窓は、自分とほかの人とのズレを解消に活用できる図。

「また意見が言えなかった」と悩んでいませんか?

「また会議で発言できなかった」「いつも友だちに話を合わせてしまい、思い通りのことができない」「そもそも、自分はどうしたいんだろう?」

積極的に自分が出せる人に憧れるけれど、集団の中で孤立しそうな、人と違うことは言いにくい。その裏には、日本人が重んじる空気を読むこと、周りからの同調圧力があると感じます。

意見を言えないことは、その人らしさを抑え込むことでもあります。自分の意思とは違う方向に物事が進むのは、ストレスが溜まるもの。しかし次第に、自分を抑えていることにも気づかなくなり、周囲からは「意見を言わない人だ」と思われていくかもしれません。

またほかの人から自分がどう見られているかは、意識はしていても、直接聞く機会が少ない人はいませんか? そうした場合も、自分とほかの人に認識のズレが生じやすくなります。自己分析と他己分析を同時にしやすい、「ジョハリの窓」についても紹介します。

同調圧力や人の目が気になる、意見を言えない人の心理。

自分らしさとは、特別な人がもっている奇抜さと捉えられることもありますが、すべての人がもっている素直な気持ちです。しかし集団を大切にする私たちは、周囲の人に注意が向き、自分の中にあるものを見て見ぬふり、あるいは我慢してしまうこともあります

  • なんとなく同調圧力を感じる
    「みんなが同意して決定しようとしているのに、自分が口を挟んでいいのだろうか」
    会議などで物事を決める際は、みんなが賛成した方がスムーズな印象があるかもしれません。「もう決定したこと」という空気が感じられ、そこへ反対意見を出して再び話し合いに戻すことは、勇気がいりますよね。
  • 自信がない、人の目が気になる。
    「人前で意見を出すのは恥ずかしい」「こんなことを言ったら、笑われるんじゃないか」と感じて、発言できない人はいませんか? またみんなが同調していることだと、「少数派の自分は間違っているかもしれない」と、さらに意見が言いにくいこともあります。
  • 人と違う意見を出して、対立するのが怖い。
    意見を出すことで、物事の決定がスムーズにいかないほか、誰かと対立する可能性もあります。集団と対立することになったり、「会議のあとも関係が悪くなったらどうしよう」と不安になったり、心配が続くかもしれません。
  • 人に合わせる方が楽だと感じる
    意見のスムーズな決定や、対立の回避を考えると、「周囲に合わせた方が楽」「意思決定を誰かに任せたい」という気持ちがめばえます。「この人の意見なら信頼できる」「責任をとってくれる」という思いがあるかもしれません。

意見や自分を出さないことは、楽な面もありますが、デメリットもあります。

「自分の意見を出さない」から「出てこない」になる危険性

意見を出さないことで、今後の動きや、自分の印象に影響が及ぶ場合があります。

  • 自分の意思と反対に物事が進む
    相手に同意する、または意見を出さないことで、自分の意思とは違う方向に進むことがあります。あとから「意見を出せばよかった」と思っても、周囲からは「同意した」と見なされ、責任は取ってもらえません。
  • 発言に一貫性がなくなる
    「あの人がB案に賛成している。昨日はA案がいいと言っていたのに」
    周囲に合わせていると、その時々で意見が変わります。合わせてくれるありがたさはありますが、「発言に一貫性がなくて、信頼できない」と思われるかもしれません。
  • ほかの人と間で認識にズレが生じる
    意見を出さないと、自分の考えや性格が伝わりません。ほかの人から「この人は意見を出さない」「なんでも承諾してもらえる」と認識されると、どんどん自分を出しにくくなります
  • 知らないうちにストレスがたまっている
    相手に任せることがスタンダードになると、自分の意見を抑えていると気づけなくなっていくかもしれません。食べられないと気づけず、嫌いな食べものを食べ続けているような状態が続くので、ストレスになります。「自分の意見が出てこない」と感じたら、注意です。

さらに「他の人も意見を言いにくい空気ができる」「力をもった人の意見だけが、通るようになる」など、周囲にも悪影響が出るかもしれません。意見を出すことは、違う見方を周囲に気づかせるほか、共感をより強めることもできます

  • 反対意見と理由を出したところ、みんなが気づいていないことで、納得してもらえた。
  • 自分だけの悩みだと思って打ち明けたら、多くの人が感じていることだった。 

ひとりで考えていても「自分の意見は、人から見てどうなのか」は見えてきません。そこで、主観的・客観的に自分を分析するための図を紹介します。

人の目で新たな自分を知る「ジョハリの窓」とは

客観的あるいは主観的な「4つの領域」から、自分を考える「ジョハリの窓」があります。心理学者のジョセフ・ルフトとハリー・インガムによって考案されました。

就職活動における自己分析や、企業研修でも使用される図です。研修などのプログラムでは、実際に複数人で窓に特徴を記入していきますが、日常的に4つの領域を意識することでも、自分がわかってきます。

記入例:この記事を書いた林が埋める「ジョハリの窓」

  自分は知っている 自分は知らない
他人は
知っている
みんなが知っている自分
・おとなしい
・のんびりしている
・考えすぎる
・自信がない
人から言われた自分
・やさしい
・周りを見ている
・几帳面
他人は
知らない
人に言っていない自分
・感情の変化が激しい
・根に持つタイプ
・先延ばしのクセがある
まだ誰も知らない自分
・今後現れるかも…
  • みんなが知っている自分(自由行動の領域)を増やす
    自由行動の領域が広いほど、自己開示をしている、自分とほかの人で印象にズレが少ないと考えられます。盲点領域を知り、避ける・隠す領域を伝えることで、この領域は広がります。意見交換をする中で、「隠していたと思っていたが、ほかの人も知っていた」ということも見つかるかもしれません。
  • ほかの人の知らない自分(避ける・隠す領域)を伝える
    「自分に自信がないため、人前でのプレゼンが不安だと上司に相談した」
    避ける・隠す領域が広いことは、ほかの人へ伝えている自分の情報が少ない、自己開示が必要なことを示します。意見を出す、自己開示をすることが、この領域を広げるために必要です。
  • 具体的な自己開示のヒント
    • 「食べたいもの」など小さなことから、自分の意見を言うよう意識する。
    • 仕事をする中での、不安点や苦手なものを上司・同僚に伝えておく。
    • コンプレックスや悩みを、親しい人に打ち明ける。

「自分を出すのは怖い」と感じる人も多いですが、無理にすべてを開示しなくて大丈夫です。不安を口に出すことで気持ちが軽くなる、相手との溝が埋まって話しやすくなる、というメリットがあります。

  • 自分の知らない自分(盲点の領域)を知る
    「意見を言えない自分に悩んでいたが、『周りをよく見ているね』と評価された」
    盲点の領域を知るためには、人の意見を取り入れる「他己分析」が必要です。
  • 具体的な他己分析のヒント
    • 学生時代の通知表やよせ書きなど、人からのメッセージを見てみる。
    • 「自分の長所」「自分について印象に残ったエピソード」を、親しい人に尋ねる。
    • 相手に質問をしてもらい、自分を掘り下げる。相手の言葉で言い換えてもらう。

人からの意見を取り入れることで、新たな自分に気づき、自信のあることがより強みになります。「周囲の人は頑張りを見てくれる」「ズレを感じるから、こんな意見を出してみよう」という気づきがあるかもしれません。

  • 未知行動の領域に気づいていく
    「仕事の環境を変えたところ、力を発揮できるようになった」
    未知行動の領域を知ることで、新たな特技や可能性に目覚めていきます。まだ誰も知らない領域ですが、ほかの人との関わりの中で、目に見える領域に入ってくる場合もあるようです。

「ジョハリの窓」は、1つの領域に変化が起こると、ほかの領域にも作用すると言われています。さらに、意見を交換したほかの人への作用も考えられます。

自分らしさや意見を意識するには、自己開示と他己分析のどちらも必要です。初めはちょっとした気づきや今日食べたいものでもよいので、少しずつ意見を出し、意見交換ができる機会をつくっていきましょう。

参考文献:グループ関係学入門: ジョハリの窓
著者:髙谷修 
発行所:株式会社22世紀アート(2019年)

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