小学生の9割がいじめ加害者になる理由は? 子どもを傍観者にしないため、大人が伝えること

小学生の9割がいじめ加害者になる理由は? 子どもを傍観者にしないため、大人が伝えること

小学生の9割は、仲間はずれなどを行った経験があるという。「周囲にいじめはない」「自分は加害者にならない」と子ども自身が思っていても、無自覚で加害者になっているかもしれない。子どもを傍観者にしないため、大人が伝えるべきことを考えます。

  • この記事のまとめ
    • 小学生の9割が、仲間はずれ・無視・陰口をしたことがある。
    • 観衆や傍観者も、いじめを促進する役割があるため、見ているだけでも子どもは加害者になりえる。
    • いじめの認知は、小さな問題を早期発見する手段。「いじめはない」と決めつけず、違和感を大切にさせる。
    • 被害者に声をかけられない場合に相談できる、身近な大人や機関などを。
    • いじめの発見のきっかけは、アンケートなどが54.2%。回答の大切さを伝えよう
    • いじめ解決は、被害者の傷が癒えたかで決まる。時間がかかると認識する。

小学生の9割が「仲間はずれ・無視・陰口をした」

自分は、いじめの被害者だった。過去を告白し、現在いじめに苦しんでいる人を励ます、いじめを無くそうと訴えるメッセージを送る有名人は、多く見られます。「自分は、いじめの加害者だった」という人は、なかなか現れません。

いじめ問題というと、親であれば「自分の子どもがいじめられないように」と考えるものでしょう。しかし実は、子どもがいじめ加害者になってしまう可能性も、意外に高いことを知っていましたか?ある調査によると、小学生の9割が、仲間はずれ・無視・陰口を「された経験がある」「した経験がある」と回答しています。
<参考:文部科学省/いじめとは、何か>

もしも子どもの身近にいじめがあり、加害者や傍観者になりそうなときは、どんなことを伝えればよいのでしょうか?

多数派に同意して「いじる」子どもは加害者?

いじめにはさまざまなタイプがあり、とくに傍観者になりやすいのは、「異質なものを排除して集団の結びつきを強めようとするもの」です。

学校やクラスなどの集団は、結びつきを重視する傾向があります。そのため集団に適応できない、異なる特性(体形・転校生・親の職業・性格の特徴・運動能力など)をもっている子どもが現れた場合に、排除して結びつきを強めようとするのです。
<参考:文部科学省/いじめ対策Q&A>

当然いじめはいけないことですが、集団にいると結びつきが気持ちよく、多数派に引っ張られていく傾向があります。子どもの周囲で、こんな光景を目撃したことはありませんか?

  • 誰かを「いじる」場面を目撃し、一緒に笑う
  • 「みんながやっているから」と、体型や性格を悪く言う
  • 嫌がっている相手を無視する
  • 「自分が孤立するかも」と思い、仲間はずれにされた人と距離をとる

またいじめは「いじめる人」「いじめられる人」だけでない、4層構造になっていると言われています。

観衆や傍観者もいじめを肯定し、促進する役割があるとされます。ささいな嫌がらせを見ていただけでも、被害者にとっては「いじめを容認していた加害者」になるかもしれないのです。

子どもが無自覚で加害者にならないためには、いじめの芽や小さな違和感に気づけるようにする必要があります。

年間612,496件。いじめの認知数が増えるのは問題?

2019年度、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は、612,496件でした。
<参考:文部科学省/令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について>

いじめの認知件数が多い・増えていることは、ショックなものです。しかしこの認知数には、1回きりの嫌がらせなども含まれます。「身近にいじめがある」と認めたくない気持ちは誰しもあるものですが、小さな問題を見て見ぬふりをすることで、予期せぬ方向に状況が動くこともあります。

  • 小さな嫌がらせが、いじめに発展する
  • 「この学校にいじめはない」と言われ、相談しにくい
  • 嫌がらせをされたが、いじめと言えるのかわからない

このような事態を防ぐために、小さな1回きりのいやがらせであってもいじめとして認知し、早急に対応する必要があります
<参考:文部科学省/いじめの認知について>

自身に被害がない、集団が落ちついていることを重視しすぎると、子どもが傷ついている生徒を見逃しているかもしれません。「あの子は、いじられ役だから」「みんなが言っているから」と同調せず、違和感があったら「いじめかも?」と捉えられる環境にするため、必要なものを知ってください

子どもがサインを見つけ、こっそり大人に知らせるために。

いじめの判断は難しいものですが、被害者が嫌だと感じるものが該当します。「あの子がいつもと違う」と周囲の子どもが感じていたら、いじめのサインかもしれません

  • 集団の中でからかい、命令されている
  • 人の声や着信音に、おびえた様子がある
  • 元気や集中力がない
  • 体調不良や欠席が増える など

文部科学省が出している「いじめのサイン発見シート」も参考にしつつ、クラスの様子を聞いてみるのも、ひとつの方法です。

周囲にいる子どもが違和感に気づいた場合は、被害者の話を聞き、できるかぎり大人に報告できるのが望ましいです

  • 被害者の話を聞く、声をかける
    周囲が共感して話を聞くことで、被害者の気持ちはやわらぎ、状況が明確になる可能性が高まります。話を聞けなくても、「大丈夫?」などと声をかけるだけで、相手の気持ちが軽くなるかもしれない、と伝えてみてください。子どもが声をかけられない、被害者とあまり接点がない場合は、こっそり大人に知らせる方法があります。
  • 信頼できる人に相談する
    いじめを集団の問題として認知するため、学校の先生など、信頼できる立場が上の人へ報告・させるべきです。担任でなくても、部活動の顧問など親しい先生、習いごとの先生や家族など、話しやすい大人で大丈夫です。可能なかぎり学校の様子を聞き、話しやすい大人がいる大切さを伝えてください。

    周囲に相談できない場合は、窓口の活用も有効です。電話が難しい場合は、メールやSNSで相談を募る、各自治体やNPOの活動もあります。
    <参考:厚生労働省/電話相談>

また「自分の名前を書きたくない」「家で記入したい」という希望を聞いて、学校に報告できると、より回答がしやすくなります。

いじめが起きてしまった場合、相手への謝罪や話し合いが必要になりますが、そこで終わりではありません。「いじめ防止等のための基本的な方針」においても、いじめの解消は「いじめが少なくとも3ヶ月やんでいること」と「被害者が心身の苦痛を感じていないこと」が基準となっていますいじめの解決は被害者の気持ちが大切で、本人にしかわからない傷を抱えている、傷が癒えるのには長い時間がかかると、子どもと一緒に認識してください。
<参考:文部科学省/「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定)の改定について【主な改定事項】>

小さな違和感に気づく重要性を伝えることで、なんとなく子どもが傍観者になってしまうことを防いでいきましょう。

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